安全に関する国際規格の背景

世界各国でそれぞれ独自の基準で制定されてきた基準や規格を国際規格ISO/IECに統一させる動きが1990年代以降、とくに強まってきました。その動きにはどんな背景があるのでしょうか。

●欧州の安全規格統一への動き

第二次大戦後、欧州は経済統合による巨大な共同市場の創設を目指し、着々と準備を進めてきました。共同市場を創設するには、モノの流通が保証されなければなりませんでしたが、当時は機械類の安全性に関する法規が加盟国毎に、さらにまたその分野ごとに大きく異なっており、結果的に流通を阻むことになっていました。

そこで、安全規格がグローバルスタンダードとして統一しようという動きが出てきたのです。
1970年代に世界各地でプラントの重大事故が発生したことも、安全規格の統一への流れを加速させました。
1976年のセベソ事故をきっかけに当時の欧州委員会(EC)はいわゆるセベソ指令を発令し、欧州統一の安全規格を策定しました。

以上のような動きがあり、1990年に前述のISO/IEC GUIDE51が策定され、グローバルな国際基準規格へと発展し、現在の安全規格の整備化へと続いています。

安全規格の体系

ISO/IEC規格は、機械ごとに個別の安全基準を設けているのではなく、機械類全体を包括的に対象とするために、規格を階層に分け、それらの規格を組み合わせて活用することで新しい安全技術や機械技術の進歩にも矛盾なく柔軟に対応できる仕組みとなっています。